「お待たせ!デートが長引いちゃってさ。女ってどうしてこうも買い物が長いのかね?ああ、やれやれ。」
そう軽口を叩く男に、葉山の口調がいつもより格段と砕けた。
「お前はいつも遅いんだよ。よくそんなんで弁護士なんてやってられるな。」
「あらあ?僕はこれでも界隈では優秀な弁護士で通っているんですけど?」
「早く座れよ。」
「言われなくても座るし。」
空いている椅子に座った男を葉山は環に紹介した。
「環さん。こいつは俺の大学時代からの知り合いで、小出司といいます。こんななりですが、本人が言っている通り、まあまあ優秀な弁護士です。」
「初めまして環ちゃん。可愛いね。よろしく!」
小出が右手を差し出したので、環もおずおずと握手をし、自己紹介をした。



