「でも勇次さんと結婚しなくて良かったわあ。」

みやびは大きく息を吐き出した。

「だってこの歳で未亡人なんて笑えないもの。」

「・・・・・・。」

「もう少しオブラートに包んでものを言って頂けませんか?彼女は寺島君と一緒に亡くなった稲沢君の妹なんです。」

語気を強めた葉山に、みやびは肩を竦めた。

「あら。それはごめんなさい。」

みやびはあっけらかんとそう言い、環の顔を改めてまじまじと見た。