あんな奴に会ったのは初めてだった…
「永倉新八と申します!」
試衛館という田舎の道場だった、あいつと最初に出会ったのは…
「勝てませんよ、私にはだれも…」
あの頃は、俺もアイツも…剣しか無かった
花音は俺と出会ってから少しずつ変わった
いや、変えてしまったと言うべきか、
でも、特に心配はない…懸念もない
あの頃の花音よりも絶対に、今の花音の方が
良いに決まってるからだ
俺はもうアイツのあの、寂しそうな顔を見たくない
剣を持った時の、あの顔を…
優しくて明るくて思いやりのある今の花音が、俺は好きなんだよ
良かったはずなんだよ…
でも、だとしても…流石にこれは
「変わりすぎじゃねぇえええ?!」
ジュンタと花音はあの試合の後、二人で湯船に浸っていたのであった…
ちゃぷちゃぷ…
「どうしたの?新八くん」
大声を上げる新八の隣で、自分の手のひらで湯船をちゃぷちゃぷと叩いて遊んでいた花音は、隣で一緒に湯船に浸る新八を見つめる
「なあ、前から言おう言おうとっ…いや!沢山言ってきたと思うんだけど…やっぱりこれおかしいと思うんだよね」
新八の頭の中にこれまでの日常の中での抵抗、葛藤の記憶がフラッシュバックする
「なにが?」
「なにがじゃねえよ!」
「どうして俺たちが毎日毎日、一緒の風呂に入ってんだよ!」
「だからそれは、」
「新選組のお風呂の時間は全員一人ずつ決まってて、たまたま新八くんと私が同じ時間になったってだけでしょ?」
と、あたかも何もおかしくない様な顔で新八の問に答える
「二人ペアで入ったら女性隊士が私一人だけ余っちゃうし、だからしょうがないの!」
「だからってなぁ!」
「私と新八くんの仲なんだから良いじゃない!」
俺たちの風呂の時間が同じなのは試衛館時代からずっとだ…それでも慣れるなんて事は全く無い
花音だってやはり女の子だ、こんな幼気な少女と全裸で二人きりというのは、やはり可笑しいと最近また思い始めてきたところで…
「はぁ…」
新八は何かを諦めたかの様なため息をする
「私は新八くんとお風呂に入るの全然嬉しいし楽しいよ?」
「そりゃあ、最初はドキドキしたし」
花音は膝を抱えて座る
「今だってすっごくドキドキしてるよ」
「でもそれ以上に、私は新八くんが本当に大好きだから」
新八は花音を見つめる
「そうゆうの全部取っ払ったら、別に良いやってお前ちゃう…」
「花音…」
「新八くんは?」
花音は隣に座る新八の顔を、覗き込むように見つめる
「え?」
「新八くんは、私とお風呂に入るの嫌?」
新八は少し考えた後、少し笑って答えた
「嫌じゃない」
お互いは笑い合う
「そう、良かった」
「それにしても、新八くんってほんとに強いよね!」
「ん?ああ、ありがと」
さっきの試合のことを思い出した
「でも、花音も強かったよ!」
「ほんとに?」
「ああ、」
あの時の事を思い返しても何度か危うい瞬間はあった…
花音とはいつもギリギリの戦いだ…他の隊士と戦っても中々味わえない刺激だ
「さすがは天才剣士だなって、思ったよ…」
「そう?でも私いつも新八くんに勝てない」
花音は少し切なげな表情をする
「今日こそは一番隊の隊士の子たちにかっこ良いとこ見せようと思ったのに…泣かせちゃった」
花音は新選組に入ってから新八には連敗ばかりだ、強さを競い合ってた筈の新八と差が開いてしまったことを気に病んでいる
でも、きっとそれだけじゃないんだろう…
花音はそんなに自分の為だけに落ち込む様なやつでは無いからだ
「何言ってんだよ、花音はあの斎藤にも土方さんにも局長にもズババンッ!って勝っちゃうんだぜ!十分いいとこ見せてるよ」
「それじゃダメなの絶対に勝てない、っていう存在に勝って希望になってあげたいの!諦めなきゃ絶対に勝てるんだぁ!って」
「そうか、確かに最近のお前は負けがかなり続いてるけど」
「試衛館時代では勝った負けたっていう試合を毎日してたよな!俺と出会う前はずっと無敗だったんだろ?」
「だからきっと…」
花音は悲しめな表情をする
「花音?」
「新八くん、試衛館時代のお話しは…ごめんなさい」
花音は風呂からあがる
「のぼせちゃった、先出てるね!」
「花音…」
「永倉新八と申します!」
試衛館という田舎の道場だった、あいつと最初に出会ったのは…
「勝てませんよ、私にはだれも…」
あの頃は、俺もアイツも…剣しか無かった
花音は俺と出会ってから少しずつ変わった
いや、変えてしまったと言うべきか、
でも、特に心配はない…懸念もない
あの頃の花音よりも絶対に、今の花音の方が
良いに決まってるからだ
俺はもうアイツのあの、寂しそうな顔を見たくない
剣を持った時の、あの顔を…
優しくて明るくて思いやりのある今の花音が、俺は好きなんだよ
良かったはずなんだよ…
でも、だとしても…流石にこれは
「変わりすぎじゃねぇえええ?!」
ジュンタと花音はあの試合の後、二人で湯船に浸っていたのであった…
ちゃぷちゃぷ…
「どうしたの?新八くん」
大声を上げる新八の隣で、自分の手のひらで湯船をちゃぷちゃぷと叩いて遊んでいた花音は、隣で一緒に湯船に浸る新八を見つめる
「なあ、前から言おう言おうとっ…いや!沢山言ってきたと思うんだけど…やっぱりこれおかしいと思うんだよね」
新八の頭の中にこれまでの日常の中での抵抗、葛藤の記憶がフラッシュバックする
「なにが?」
「なにがじゃねえよ!」
「どうして俺たちが毎日毎日、一緒の風呂に入ってんだよ!」
「だからそれは、」
「新選組のお風呂の時間は全員一人ずつ決まってて、たまたま新八くんと私が同じ時間になったってだけでしょ?」
と、あたかも何もおかしくない様な顔で新八の問に答える
「二人ペアで入ったら女性隊士が私一人だけ余っちゃうし、だからしょうがないの!」
「だからってなぁ!」
「私と新八くんの仲なんだから良いじゃない!」
俺たちの風呂の時間が同じなのは試衛館時代からずっとだ…それでも慣れるなんて事は全く無い
花音だってやはり女の子だ、こんな幼気な少女と全裸で二人きりというのは、やはり可笑しいと最近また思い始めてきたところで…
「はぁ…」
新八は何かを諦めたかの様なため息をする
「私は新八くんとお風呂に入るの全然嬉しいし楽しいよ?」
「そりゃあ、最初はドキドキしたし」
花音は膝を抱えて座る
「今だってすっごくドキドキしてるよ」
「でもそれ以上に、私は新八くんが本当に大好きだから」
新八は花音を見つめる
「そうゆうの全部取っ払ったら、別に良いやってお前ちゃう…」
「花音…」
「新八くんは?」
花音は隣に座る新八の顔を、覗き込むように見つめる
「え?」
「新八くんは、私とお風呂に入るの嫌?」
新八は少し考えた後、少し笑って答えた
「嫌じゃない」
お互いは笑い合う
「そう、良かった」
「それにしても、新八くんってほんとに強いよね!」
「ん?ああ、ありがと」
さっきの試合のことを思い出した
「でも、花音も強かったよ!」
「ほんとに?」
「ああ、」
あの時の事を思い返しても何度か危うい瞬間はあった…
花音とはいつもギリギリの戦いだ…他の隊士と戦っても中々味わえない刺激だ
「さすがは天才剣士だなって、思ったよ…」
「そう?でも私いつも新八くんに勝てない」
花音は少し切なげな表情をする
「今日こそは一番隊の隊士の子たちにかっこ良いとこ見せようと思ったのに…泣かせちゃった」
花音は新選組に入ってから新八には連敗ばかりだ、強さを競い合ってた筈の新八と差が開いてしまったことを気に病んでいる
でも、きっとそれだけじゃないんだろう…
花音はそんなに自分の為だけに落ち込む様なやつでは無いからだ
「何言ってんだよ、花音はあの斎藤にも土方さんにも局長にもズババンッ!って勝っちゃうんだぜ!十分いいとこ見せてるよ」
「それじゃダメなの絶対に勝てない、っていう存在に勝って希望になってあげたいの!諦めなきゃ絶対に勝てるんだぁ!って」
「そうか、確かに最近のお前は負けがかなり続いてるけど」
「試衛館時代では勝った負けたっていう試合を毎日してたよな!俺と出会う前はずっと無敗だったんだろ?」
「だからきっと…」
花音は悲しめな表情をする
「花音?」
「新八くん、試衛館時代のお話しは…ごめんなさい」
花音は風呂からあがる
「のぼせちゃった、先出てるね!」
「花音…」
