ななせ先輩。そういえば、集会のときに何度か見たことあるな〜。すっごく美人だった。
ななせ先輩が私の横を通ったとき、思わず見惚れちゃったんだもん、と数週間前の出来事を思い出しながら、二個目の卵焼きを口に入れる寸前だった。
タイミング悪く、窓際の席にいる小鳥遊くんと視線が交わった。
わっ!目合った!……卵焼き口に入れたまま。
咄嗟に『恥ずかしい』が表情から溢れる。
小鳥遊くんとの距離は、とても離れているのに、胸がぎゅっと掴まれた。
今日の私、ヘンだな。風邪でも引いちゃった、とか…?
他の男の子なら、別にどうも思わないのに。
小鳥遊くんだから、意識しちゃうのかな?よく、わかんないよ。
側にいる、沙耶佳ちゃんと乙葉ちゃんの会話が、ずっと上の空でご飯も喉に通らない。



