「ちぃったら、今日も小鳥遊くんのこと見てたね〜」

「えっ!?」



ガヤガヤと騒がしい昼休みの教室で、お弁当を広げていると、向かい側の沙耶佳(さやか)ちゃんが、ニコッと笑った。

びっくりした私は、肩を跳ね上げた。卵焼きを取ろうとするお箸を持った指の動きだって停止する。

らしくない、呆気ない声が転がっちゃって、手なんか左右にぶんぶん振ってる。

「違うよ〜〜っ」と、続けて否定はしてるんだけど顔は熱を集めたみたいに、ぼわっと朱色に変わってる。



「みっ、見てないよ!見てないもん……」

「ちーちゃんウソ下手。顔すっごく赤いし!」


すぐさま言葉を見つけて、早口に反論したけど、乙葉(おとは)ちゃんの朗らかな笑い声で消されてしまった。


なんだか気持ちを見透かされた気分…。小さく息を一つ。



もーっ!二人とも好き勝手言うんだから…。

小鳥遊くんや、クラスのみんなに聞かれてたら…どうしよう。すっごく恥ずかしい。