「私…っ、やだよ。小鳥遊くんと離れたくないよ」
「うん」
言ってはいけない言葉を口にした。だけど、心より言葉が動いて、止まらない。
だってね、3学期には小鳥遊くんはいない。
バレンタインのチョコ渡せない。
好きな人に「好き」って気持ちを伝える日に、私の好きな人は、そこにはいない。
来年も同じクラスになりたかったな。
一緒に卒業して同じ景色を見て、何気ない会話も、笑った顔も、手を繋いで好きって言えたら、私はそれだけで十分だよ。
他になにも望まない。
「都倉さんと一緒にいた時間、楽しかったよ。みゃーの世話、最後までできなくてごめんね」
「…っ。ずるいよ、小鳥遊くん…はずるい…。今度は、いつ会えるの?」
「わからない」
横から落ちる言葉は切なくて、苦しい。
紡ぐ言葉を口にして、涙が出ると喉に激しい痛みが走った。
冬の風が二人の髪を揺らして、ふわふわのマフラーから小鳥遊くんの匂いがすると、胸が甘くてとっても痛い。
小鳥遊くんがいない毎日なんて、全然楽しくないよ──…



