横顔にドキドキする。


息が苦しい。小鳥遊くん、近いよ。
この距離感はクラスメイトの距離で間違いないの?
ねえ、小鳥遊くんの指、私の目尻に触れてるよね……?


細長くて綺麗な指が、躊躇うように私の涙の跡を撫でた。

びくっ!と肩が跳ねてしまう。
小鳥遊くんの顔を、こんなにも近くで見るのははじめてで、話しかけるタイミングを見失う。

私、息していいの?
少しでも喋ってしまったら、唇がくっつきほうだよ。そのくらい、近くにいる。

触れたのは束の間のことで、すぐに指を戻して顔ごとそらされた。


「ごめん……」

「…ううん。だいじょーぶ」

「ねーちゃんが、昨日はありがとうって。朝言おうと思ったけど言えてなかった、から…今言う」


ひとつ頷いた。


「私こそ、ごめんなさい。今日、小鳥遊くんに当たっちゃった」

「いいよ。あんなの気にしてない」


前を向いて、視線をたまに外しながら伝えると、小鳥遊くんの優しくて甘い顔が視界を奪う。

学校では見たことがない表情に、胸のドキドキが増して、体温は一度上昇。


どうしよう、顔見れない。胸がキュンてした。

私、小鳥遊くんがすき──…