「都倉さんが思ってたようなことはないよ」


真っ直ぐに見つめる視線。

すとんと好きな声が私だけに響いて、その言葉を貰った瞬間、涙が溢れた。

一粒、二粒と甘くて、痛い涙が金平糖のように肌を伝う。

小鳥遊くんの言葉が嬉しいのに、少しだけ苦しいの。


「ごっ、ごめん(わっ、涙が!やだ、やだっ!小鳥遊くんに泣き顔見られたくない)」


必死に隠す泣いた姿。
俯く顔と火照るように恥ずかしがる視線。

ずいっ、と影が近づいたのが見えて、息も言葉も忘れた。小鳥遊くんが、私に一人分の距離を詰めたんだ。

小鳥遊くんの匂いが鼻をくすぐった。

香水じゃなくて、シャンプーかな。

よくわからなかったけど、その匂いは、忘れられない香りになった。


「あ…」


おずおずと、顔を上げれば小鳥遊くんの温もりに触れる。

涙の跡を隠した私の手首は、小鳥遊くんに掴まれていた。