さよならの前に抱きしめて

「ちぃ？」



視線の先にいたのは──…



「沙耶佳ちゃん、と…」

「千早」


学校帰りの、沙耶佳ちゃんと小鳥遊くんだ。
その二人の周りには、私も知らない違う制服を来た男の子と女の子が何人かいる。

共通の友達？…あれ、そもそも二人って接点あったっけ？中学が同じ？ええと……なんにも知らないや。


ただ、私の心がポキッと折れた変な違和感だけはしてる。


一瞬目が合ったけど、すぐそらした。
小鳥遊くんの顔を見るのが怖くて逃げたんだ。


あ、れ…？おかしいな、胸いたい。


沙耶佳ちゃんは、少しだけ驚いてるけど、小鳥遊くんはいつもの無表情を顔に貼り付けている。

知らない女の子と男の子は、二人に早く向こう行こうよ、って何か急かすような言い方だ。