さよならの前に抱きしめて

クリスマスが近づく街中は色鮮やかなイルミネーションで溢れていて心が躍った。


「どっちがいいと思う?」

「え、と…」


お目当ての雑貨屋さんに立ち寄った直後、ななせ先輩は、2つのピアスを手に取り私の前に差し出した。


オシャレに興味がないってわけじゃないけど…ピアスなんて開けてないし…。ど、どっちがいいんだろ?


そう聞かれましても、少し形が違うだけで、なんかこれって女の子がつけるより、男の子がつけそうなピアスだよね。



手のひらに乗ったピアスを交互に見ながら、口ごもってしまう。



「う〜〜ん」

「千夏ちゃんが彼氏に選ぶとしたら、どっちにする?々

「彼氏なんていませんよ!」

「えっ。そうなの?」


さらっ、と落ちてきた言葉に私は、顔を赤くして返した。


彼氏いない歴16年。初恋だってまだです。