昼休みになり、私は温かいココアが飲みたくて、自販機まで一人やって来た。
教室もじゅうぶん寒いけど、やっぱり外に一歩出ると段違いだ。冷たい風がずっと体にぶつかって、身震いする。


ゔ〜〜こんなに寒いとは…風邪引きそう。
早く買えないかな〜〜。


目的地に着いたものの、先約がいたので黙って後ろに並ぶ。ぐずっと鼻を啜り、これは風邪の引き始めの前兆だ、と覚悟した。


ポケットに手、入れても全然温かくない。
明日からカイロ持って来た方がいいかも。
カイロなんて家にあったっけ……後でお母さんにライン送っておこう。


しかし、私の前に並んでる人は飲み物を買うのに、ずいぶんと悩んでいるみたい。

私に似て、悩み癖があるのかな。
私なんて、ココア買いに来たのに、ポタージュが欲しくなって頭の中で、どれにしようかな…って迷ってるもん。


無意識のうちに、スリッパがアスファルトを蹴った。掠れた音が出てしまい、前に並んでる人が驚いて、くらりと私へ体を向けたんだ。


「あ。ななせ先輩。こんにちは」


ガタン!と勢いよく飲み物を買ったななせ先輩が、私に近づいてきた。