あたしは、泣きながら瑞山さんに抱きつく。

心から安心できる人だった。

お母さんよりも、お父さんよりも……。

瑞山さんもあたしを抱き締めてくれる。

嬉しかった。

ほんとにほんとに嬉しかった。





でも、あたしは……




目の前で愛しい人を傷つけていたんだね。





あたしは、ほんとに愛しい人の前で違う人に愛の言葉を囁く。



あたしの視界の隅っこで先生が職員室を出て行くのが見えた。