急いで家に戻り、制服から私服に着替た。
 我ながら見事な早着替えだったと思う。

 それから、購入したトレシューを入れられるようにリュックを投げるように背負って、また家を出た。
 今はまだリュックの中は財布だけ。
 早足で歩くと、財布が跳ねる。

 メガネは外してこればよかったかな……

 少し後悔した。

 視力はすごく悪いってこともない。
 教室後方の席に座ったときに、黒板の小さな文字が霞んでしまって、目をこらさないと読めないって程度だ。

 にも拘らずかけてきてしまった。
 そのせいで、お店までまだ数百メートルはありそうなのに、入り口前に立つ光汰の姿を、レンズがくっきりはっきりと捉えてしまう。

 ここまで、私だってのんびりやって来たわけではなかった。
 むしろテキパキ行動したくらいだ。
 それにお店までは、私の家からのほうが、光汰の家からよりもずっと近いはず。

 一体どれだけ急いで来てくれたの?

 チラッと時刻を確認した。
 約束した4時50分には、まだ7分もある。