──月曜日の朝。

「ひゃっ!」

 小さな悲鳴をあげてしまった。

 ものすごい速さで、背後からこっちに向かって走ってくる足音は聞こえていた。

 早く学校に来ないといけない事情があったのに、うっかりいつも通りに起きてしまったとか?
 週の始めから大変だ。
 がんばれ──

 のん気に、そんなふうに思っていた。

 それなのに、次の瞬間には私の正面に回りこんできたのだった。
 それゆえの『ひゃっ』だ。

「何で履いてきてないの?」
「なんだ、光汰かあ。びっくりさせないでよ!」

 光汰のせいで、私の心臓はバクバクだ。

 光汰を非難しつつも、実は家を出るときから、あのスニーカーを履いてこなかったことに光汰は気がつくだろうか、と不安だった。
 まさかこんなにすぐバレるとは思わなかった。