「父さーん!」
「おじさーん!」

 入り口で、店内を見回す新星のおじさん……
 じゃなくて、私は銀星台の生徒なんだから、『理事長』って呼んだ方がいいのかな?

 光汰と私は理事長に向かって、高く腕を上げた。

「あれ? 紗羅ちゃん?」

 私たちの呼びかけに気づいて、理事長は驚きつつも優しい笑顔になった。

「ええっと……もしかして、光汰と約束してたのかな?」
「偶然! 偶然です!!」

 慌てて否定した。
 だって、ふたりで約束して靴屋に来るなんて、それってまるで……

 けれど、理事長のほうは何も気にしていなかった。

「何だ、そうか。ところで、銀星台に編入したんだって?」
「はい。よろしくお願いします」
「こちらこそ。紗羅ちゃんのような子が銀星台の生徒になってくれるなんてうれしいよ。やりたいことを思いっきりやってくれていいからね」
「やりたいことを思いっきり……」