──私を堰き止めていた何かが決壊した。
 もう衝動を抑えることはできない。

「嘘をついたことはごめんなさい」

 私なりに、心から謝罪した。
 ずっと罪悪感を抱えていた。
 それから、いつかは露呈するんじゃないかという恐怖も。
 でも、それもお終いだ──

「だけど、私はソフトボールを続ける」
「親に逆らうなっ!」

 私の宣言に対して、3倍の声量が返ってきた。

 だからといって、もう諦める気はない。
 これまで通りには『はい、分かりました』と返事をすることはできないし、するつもりもない。

「月ヶ丘のためとか、銀星台のためとか関係ない。私は、自分がやりたいことをやる!」
「そんなことが許されると思っているのか⁉︎」

 お父さんの剣幕にも屈してなるものかと、私はすかさず反論する。

「当然でしょう? 私のことは私が決める。それから、『月ヶ丘も真似したほうがいいことを見つけたら、その都度報告しなさい』だったよね?」