姿見鏡の正面に立った。

 真新しい制服に袖を通すのが、こんなに気が重いなんて……
 ちょうど1年前、月ヶ丘学園の制服をはじめて着たときとは大違い。

 あのときは、これから始まろうとしている中学校生活に胸を弾ませていたし、一気に大人になったような気もしてうれしかったな。
 
 とはいえ、待っていたのは夢見ていたのとは真逆の現実だったんだけど。
 あの輪には溶け込めなかったし、結局は両親とお姉ちゃんの言いなりで銀星台に編入──

 そうそう、その後、銀星台の編入試験には無事合格したのだ。
 でも、そのことを今猛烈に後悔している。

 銀星台に受かったからって、家族から褒められるとは思っていなかった。
 だけど、これで少しは私のことも認めてくれるんじゃないかって、期待してしまっていたみたい。

 だから合格したことを報告したときに、みんなして、

「そうか」
「まあ、当然よね」
「ふーん」

 そんな反応しかしてくれなかったことに落胆した。