最強乙女と無敵ヤンキー




 「もう俺はそうするって決めたから」

 「出た出た。いつものやつ」

 「それを言ったときのユイは折れないんだよねぇ」


 キッパリと言い放ったユイさんにグレさんは溜め息を吐き、リマさんは笑みを零した。どうやら話し合いは終わったらしい。


 「ってわけで四強の印だ」

 
 ユイさんがふっと笑い、玄武の形をした金のバッジを私に差し出す。ユイさんの学ランには青龍のバッジ、グレさんは白虎、リマさんは朱雀。四強が集まれば四神が揃う。


 「このバッジは……。付けてたら何かあるんですか?」

 「雑魚は寄ってこない」

 「魔物避けみたいな?」

 「あぁ」

 「その代わり強い人から挑まれるのでは?」

 「察しがいいな」


 疑いの眼差しを向けた私にユイさんは楽しげに目を細める。何とまぁいい笑顔だ。悪戯っこみたい。
 

 「もう1つ付け加えれば、このバッジを付けてるやつは喧嘩の問答無用で喧嘩の仲裁をさせられる」

 「呪いのバッジじゃないですか」

 「その代わり闇雲に勝負は挑まれないし、付けてないよりかは平和だ」

 「諸刃の剣ですね……」

 「あと四強同士の喧嘩は退学ルールが適用されない。じゃなきゃ一強になって止められる人間が居なくなるからな」

 「なるほど」


 1人に権力が集中しないようにしてるんだ?そこら辺よく考えられてある。

 まぁ、このまま襲撃に遭うことを考えたら、ありかも知れない。強い人は簡単に勝負を仕掛けてこないだろうし。


 「分かりました。今日からよろしくお願いします」


 そんな思いでバッジを受け取り、胸元に付けた。安易な考えかも知れないけど、このまま毎日、喧嘩を挑まれまくるよりはきっとマシなはず。

 今日から四強の仲間入り。玄武のいちごだ。自覚はあんまりないけども。