「おい。女相手に何イキッてんだよ」
すると校舎から背の高い黒髪の男子生徒が出てきた。気の強そうな目に鼻筋の通った鼻、唇は薄く輪郭はシュッとしている。
随分と強気な顔をした男の子だ。但し、イケメン。顔面が国宝級。独特なオーラも相俟って、ついつい視線が奪われる。
「面倒くさ。放っておけばいいのに」
その背中を追うように金色の長い髪をした猫っぽい美青年が現れた。肌がきめ細かく繊細な顔のパーツに冷めた目が印象な男の子だ。
耳に付けたヘッドフォンを外し、のんびりと気怠げに歩いてる。
「ごめんねぇ。直ぐに退かすから」
柔らかな声をした赤髪の男も現れる。威風堂々としていて女顔。目がパッチリとしていて全体的に優しげ。
私を見つめる目は穏やかで口角は緩く上がってる。よく通る良い声をした人だ。
一際目立つオーラを放った3人組は見るからに3年。多分この学校のトップに立ってる人なんだろう。門の前に居た不良たちがこぞって尊敬の眼差しを向ける。
「ユイさん!」
「グレさんとリマさんも居るぞ」
「ざーす。自分、2年の坂内です」
「うぃっす。お疲れっす!」
自分の名前を名乗ったり、挨拶をしたり、ヤンキー達のアピールタイム開始。ある意味、握手会のよう。謎のプチ交流会みたいなものが始まる。
しかし、友達になりたいと言うより強い人と親交を持ちたいだけっぽい。虎の威を借る狐。取り巻きになりたいって感じだ。何かあったら助けて欲しいって顔に書いてある。
「煩いって」
それを良く思ってなさそうな雰囲気を金髪美青年からヒシヒシと感じる。棒つきキャンディを咥えて膨れっ面。『グレさん。マジ、イケメンッスね』って媚びを売った不良に心底嫌そうな顔を返してる。
「番号は教えねぇから」
“ユイ”と呼ばれた人は慣れてるのか軽くスルー気味。返す言葉は『ふーん』と『へぇ』の二択。それでも全員から番号交換まで激しめに申し出られているのを見ると1番強い人なのかも知れない。
「はいはい。君たち番号交換はいいから。撤収して。女の子が通れなくて困ってるでしょ」
教師のように手を叩いて皆を誘導する赤髪の男は“リマ”だ。物腰が柔らかくて優しそうに見えるが、放つ威圧感は絶対的。皆、慌ててスマホを仕舞ってるし。



