「珍しい。一緒に来たのか」
「まぁね〜」
「あれだけ噛みついてたのに。いつの間に仲良くなったんだよ」
「つい、この間だよ。いちごの凄さを目の当たりにしちゃって」
バームクーヘンの箱を開けながらグレさんはご機嫌な顔でユイさんに答えた。何故だか自分が投げ飛ばされた時のことを嬉しそうに語ってる。
「へぇー。いちご、やるじゃん」
「別にそんな……」
「凄いよ。むしろ、凄いって言って。俺、負けちゃったんだから」
丸いバームクーヘンをフォークでざっと四等分に切りグレさんは苦笑いを浮かべた。手慣れた手付きでちゃちゃっとカステラと一緒に紙のお皿に取り分けてる。
「リマは?」
「後から来るだろ」
「今ドコに居るの?」
「窓の外を見たら分かる」
苦々しく笑いながらユイさんはバームクーヘンに手を伸ばした。フォークで更に小さく切って残りをグレさんのお皿に乗せてる。こっちは甘い物が苦手らしい。
「窓の外って……。あぁ、なるほど」
グレさんが窓に向かい、呆れたように頷く。気になって同じように覗きにいったら中庭にリマさんの姿があった。
いろんな人から次々と話し掛けられてるみたいで、円を描くように沢山の男子生徒に囲まれてる。
「忙しいね〜。リマも」
「まぁ、人当たりがいいと言うか話しやすいしな」
「怒らすと1番おっかないのにね」
「まぁな。俺の方が強いけど」
「はいはい」
自分の方が強いと鼻で笑うユイさん。グレさんがクールな顔つきでソファに戻り、フォークでバームクーヘンを突っつく。
窓の外から見えるリマさんは優しそうで怖くは見えない。いかにもカリスマって感じ。
でも、話し掛けた生徒がキビキビ動いてるのを見るとやっぱり裏がありそう。どう変わるんだろうって、ちょっとだけ気になる。



