ないものねだり


希羅からはすぐ返事が届いた。

前の人が手を後ろに回し、授業に集中できない私の目の前に手紙をヒラヒラさせた。

それを受け取り、急いで開く。



”普通に、付き合いたいでいいと思うよ(^▽^)/”



そう書かれていた。

もう頭の中は敦でいっぱい。

終わりのチャイムが聞こえると、体が熱くなった。


座りながら帰る用意をしてると、希羅と楓が机に集まってきた。


「ちゃんと言うんだよ~!!」


顔をニヤ付けさせながら言う希羅。その反対の楓は、


「作文つくろうか?ちゃんと話せる?」


と作文を作ろうとしてくる。

誰が返事に作文を読むんだよ!!!っと希羅が突っ込みを入れていた。

そんな2人を他所に、心臓が口から出そうになっている私。

私を見た希羅が、頭を撫でながら言う。


「大丈夫だよ。敦なら。沙矢の事分かってくれてるし、
私たちから見てもお似合いだよ。自信もって!!」


「どっちも能天気どうしお似合いよ。」


一言多い楓も優しく笑ってくれた。

2人のおかげで少し落ち着いた気がする。


”敦に会いたい…”

”いつもの笑顔を見たい…”


私の心はそう望んでいた。

そう思うとすぐ会いたくなった。

2人にまた明日と告げ、駐輪場まで走る。


ポニーテールが激しく揺れる。

首筋には冬の冷たい風がかすむ。

今はそれが心地よかった。


駐輪場につくと既に敦は来ていた。

昨日と同じ場所。

壁に寄りかかり、手をポケットに入れていた。