ないものねだり


「どうだったの!」



希羅は目をキラキラさせながら聞いてくる。

楓は壁に寄りかかりながら腕組みをしていた。



「……告白された。」



言った瞬間に自分の顔が急激に熱くなる。



「やっぱり~!絶対そうだよねって楓と話してたんよ~!
もちろん付き合うんだよね?沙矢も敦好きでしょ?」



希羅は私の肩をつかみ揺さぶる。



「そっちの好きか分かんないでしょ。勝手に話を進めるな。」



楽しくてしょうがないといった態度の希羅とは反対に、

冷静な楓が言う。



「まぁ、後藤の態度はさ見てたら分かるけど、沙矢だよ?
あいつが沙矢のこと好きとか分かる訳ないじゃん。
ほんとに友達と思って接してたんだし。」



楓はすごい。気持ち全部分かってくれる。