ないものねだり


「っお前おせーよ笑」


敦は絞り出したような声で言う。

よかった。話してくれて。

自分から話しかけるのが少し怖かった。



「ごめん。本見てた。」



…うそ。

緊張してるんだ。


少し間が空く。


何か話した方がいいかな……。

目線が下がって自分の靴を見る。

何か話そうと口を開けた時、


「いきなり呼び出してごめんな。話したい事あって…。」


気づくとすぐ近くに敦はいた。