ないものねだり


授業も終わりに近づくにつれ、なぜかドキドキしてきた。

ちょっと期待してる自分もいる。


チャイムがなった。


緊張してるのが顔に出てるのか、

この時ばかりは希羅も楓も何も言わずに頭を撫でてくれた。


自転車置き場の道はいつもなら野球部の声が響いてるのに、

今は耳に蓋でも付いたのかと、音がきこえなかった。


自転車置き場につく。

沢山あるはずの自転車は、もう半分以下になっていた。

自転車置き場の一番奥、体育館の壁が見える。

そこに敦は背中をつけ立っていた。

近づくと足音に気づいたのか、敦がこちらを見る。


いつもより笑顔がぎこちない。


こっちにもうつりそうだった。