ないものねだり


学生と言えば勉強に行事に、そして恋愛みたいな三拍子は、

私には不向きだろうなって思ってた。

仮に好きな人ができて、付き合いたいってなっても、

施設が ”絶対恋愛禁止” だから

結局できないんだ。




「沙矢と楓は好きな人いないの~~??」


トライアングルにした3つの机に突っ伏しながら、

ほぼ毎日のように聞いてくる希羅。


「いない。」


毎回の質問にげんなりしてる楓。


「うちは希羅と楓が好き~~!!」


私は毎回違う返答をしていた。

つまらなさそうな希羅を笑わせるため。


「二股やん~~笑」


体を起こし二ヤつく希羅。


「そういう自分はまた断ったの?」


読みかけの本を開きながら楓が言う。


「うん!もちろん!」


振った本人は悪びれもなく笑っていた。