ないものねだり


中学1年の終わりにもなると、周りにちらほらと恋人ができていく。


帰り道に手をつないで歩いたり、昼休みに別の教室に走ったり、自転車に2人乗りしたり…


「近い~!離れろ~!恋愛より勉強をしなさい!」


と学校の先生に怒られてはいるものの、

等の本人たちはなんだか嬉しそうだった。


”恋人か……”


憧れなかったわけではない。

現に小学生の時、好きな人がいた。

あれは恋なのかどうかも分からないけど、同じ施設の高校生だった。

野球をしてるところがかっこよかったのは覚えてる。

顔なんて覚えてない。

好きという気持ちもよく分からなかった。

そんなよく分からずに憧れてた人。