ないものねだり


由紀は施設の先生からも気に入られていた。

私が失敗すると毎回楽しそうに報告をする。

その度怒られるのと同時にたまに暴力。

大きい痣を眼帯で隠して登校したこともあった。


心はどんどん無くなっていった。


由紀は私が中学校を楽しんでるのが嫌そうだった。

施設では地雷を踏まないように生活している私。

なのに学校では仲のいい友達ができて、

伸び伸びしてるのが癪に触ったんだろう。


学校で”あいつ親に捨てられたんよ”と希羅と楓、

他の生徒にも言いふらしてたのを耳にした。

顔が真っ赤になって、泣きたくなった。



でもみんな中学生、



心配と虚しさとは裏腹に、一部を除いては、


”そういう人もいるよね”と、

逆に由紀が恥ずかしくなったみたいだったと、後に希羅と楓が言ってくれた。