「ていうか新学期そうそう相変わらずの校則違反ね、」
そう、私のこの格好は完璧な校則違反なのだ。
メイクにスカート、そしてピアス!
これらはこの後に起こるビックイベントに向けたいわゆる「勝負姿」なのだ。
「まあね、先生に会って話せるなら校則違反なんて余裕でできるわ」
漣先生、本名九条漣
私が大好きな先生の名前だ。
漣先生は私の高校入学と同時に新任として赴任してきた先生で顔といい性格といい声といい欠点がないほど完璧な人間である。
そのおかげで次の日にはモテ始め、今では「輝夜高校のアイドル」なんて言われているほどだ。
そんな漣先生に心を奪われ話すためにみんな校則違反しまくっている。
私もその一人だった。
「はいはい、そーですねー。」
いつもより高めのテンションの私を見てあきれたような桃が気持ちのこもっていない返事をしてくる。
「も~、なんで桃は漣先生の魅力に気付かないのかな~、もったいないよ
かっこいいし、イケメンだし_____」
と、語りだしたら止まらないモードの入ってしまった私を桃が苦笑しながら見ている。
なんで桃は漣先生に魅力を感じないんだろうか。
これだけ私が熱演してもこれっぽちもなびかない。
ある意味すごいなあ、と最近納得してきてしまっている自分がいる。
こんな感じで登校していると、いつものように女子生徒の悲鳴が聞こえてきた。
校門の前には見慣れた光景。
「あちゃ~、まーた始まってるよ、アイドル並みのお話会イベント」
そんな桃の話なんて耳に入らないくらい、私の目は`とある人`に釘付けだった。
「あっ!!!!!」
私はそのわだかまりの中に一番会いたかった大好きな人の姿を見つけ、走っていった
