そんなことを考えていると、吸っていたタバコは灰を長くしていて、俺は後ろの室外機にあるガラス製の灰皿に、灰が落ちないようそっと向けた。
しかし、灰は室外機の上に落ちた。
灰皿がない。
ふと顔を上げると、灰皿を両手に持ち、振り下ろそうとしているミツがいた。
「っ!」
俺は咄嗟にタバコをその場に落とし、灰皿を持つミツの両手を、自分の両手で受け止めた。
「ちょ! いや、ちょっ……」
「だって、喋っちゃったんだもん! アオイには喋るつもりじゃなかったのに、聞かれちゃったんだもん! ごめんね、ごめんね。でも、こうするしかないんだもん!!」
ミツの動かす両手につられて、俺の両手も左右にブンブン、動く。
「落ち着けって! ちょっと!」
「ダメなの! もう、こうするしかないの!」



