「な、んで?」
「殺す気はなかったんだって!」
とミツがぐいっと詰め寄ってきて、俺の肩を両手で掴んだから、俺は思わず、後ろにのけ反ってしまった。ミツの手には洗剤の泡がついている。
「冗談だよね?」
「ううん。殺しちゃった。殺しちゃったの! だって! ……だって」ミツがその場でうなだれて、俺の肩から手を離した。
「だって、しょうがなかったの。物の弾みっていうか」
「物の弾みって……」なんだか、刑事ドラマのようなセリフだなと思った。
「相手は?」
「アオイの知らない人」
「男?」
「……うん」
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