アオハル・サーキュレーター





カードーキーで部屋に通された部屋は、シングルサイズのベッドが1つあるごく普通の部屋だった。


それから、オールバックの男からスマートフォンの使い方について、説明を受けた。ヤヨイが言っていた「ピッチ」というやつだ。連絡先はヤヨイのモノしか入っていないこと、特殊なスマートフォンで、位置情報やサイトへのアクセス履歴などは残らないようになっていること。どういう仕組みなのかまではよくわからなかったけど、おそらくこれも裏稼業で使われている連絡手段として、誰かが動いているのだろう。この稼業はこのビジネスホテルも含め、そういうものが多い。


「その他、ルームサービスなどお気軽にご利用ください。すべてそちらのスマートフォンからご注文いただけます。マッサージ師のご指名につきましては、そちらのスマートフォンにございます、『本日のマッサージ師』というアプリからご覧になってください。以上でわたくしからの説明は以上になりますが、何かご質問はございますか?」


聞きたいことが山ほどある。だが、今は一つだ。


「護身用の武器のレンタル、とかありますか?」


「誠に申し訳ございません。当店、そういったレンタルは行っておりません」


そりゃそうだろう。しかし、さっきのことがある。こうして寝ている間に襲われることだってあるかもしれない。準備しておくに越したないと思ったのだが。


「ですよね、すみません」


「ですが、アオイ様が今そうおっしゃったので、代わりにこちらをお持ちになってください」


とオールバックの男が言うと、部屋がノックされ、女の従業員が箱を持って入ってきて、俺に手渡した。


中身は、拳銃だった。