幸薄そうな代行の男は、ビジネスホテルの駐車場に車を停めた。テレビでも大々的に宣伝している、誰もが知っているビジネスホテルだ。
ヤヨイと共に、受付に行くと、ヤヨイは会員カードを出した。女性のホテル従業員がそれを受け取り、スキャンすると、「少々お待ちください」と言って、奥へ行った。入れ替わるようにして、奥からオールバックの男が出てきて、それぞれの部屋のカードーキーを渡してきた。
その一つをヤヨイは受け取ると、備え付けのメモ用紙に何かをサラサラ書き、そしてオールバックの男に渡した。
「これを例のやつの中に。あー、あとピッチある?」
「ええ、ございます」
「んじゃ、それ一つ、こいつに」
「かしこまりました」
ヤヨイは、エレベーターの上ボタンを連打した。
「明日、ピッチで起こすから。んじゃ」
とエレベーターに一人乗って、上がってしまった。



