「そういえば、ヤヨイ。ハルはどうしてるの?」
そういえば、「ハル」。昨日からやたら聞く名前だ。
「知らねえ」
「ふーん。ま、でも顔くらい出しておきなよ」
ヤヨイはサトーちゃんの言葉を無視して、バーボンのグラスを傾けた。
「あの、その、ハルって人は?」
「え?」とサトーちゃんがゴーヤを切る手を止めた。
「あんた、知らないの? ハルを」
「まあ、はい……」
「ヤヨイ!」
サトーちゃんの声に、ヤヨイは耳を傾けない。バーボン片手に席を立ち、喫煙ルームに行ってしまった。
「アオイくん、もし死んだら火葬と土葬とどっちがいい?」
「え、俺死ぬんすか?」
「うーん、十中八九……まあ、一か二くらいの可能性は残ってるから……あれがあればね?」
「あれ、ですか?」
「そっ! 結構大変だったのよ? まあ、いつアオイくんに届くかわからないけど」



