「あのさ」とミツが調理に使った鍋を磨きながら言った。 「今日、私、人殺しちゃったんだよね」 「え?」 一瞬ミツが何を言っているかわからなかった。いや、一瞬どころじゃない。 「ミツが人を殺した」 何度心の中で反芻してみても、わからない。何を言っているのか、まったくわからない。