最後の薬局に納品を終えた時には、18時を回っていた。
「さーて、飯でも行くか?」
と、ヤヨイは、「島の里」という沖縄料理屋で、車を停めた。
「サトーちゃん、酒」
「あ、ヤヨイ。しかも男連れ……」
とサトーちゃんと呼ばれたその女性が、右手をひらひらさせながら言った。30代前後だろうか。車屋のカツさんと同じくらいの年齢に見える。
「成り行きだよ」
「成り行き? ふーん」とサトーちゃんが俺を下から舐めまわすように見た。
「恋の逃避行……か」
「ちがわい! 新入社員ってことだよ」
「あれ? あんたって法人化してんだっけ?」
「まさか。きっとクレカの審査も落ちる」
なるほど。弊社は会社組織ではないらしい。
「で、その新入社員くん、名前は?」
「あ、アオイといいます」
「アオイくんかぁ。私、サトミ。よろしくね。アオイくんは何飲む?」
「えっと、じゃあ、ビールで」



