「しかし、ヤヨイ。このことをハルは知っているのか?」
「そこなんだよなぁ……ああ、めんどくせぇ……」
「ヤヨイ?」
「ああ、こいつの名前だ。って、まさか知らなかったのか?」そういえば知らなかった。聞くチャンスだっていくつもあった。
「まあ、いい。ヤヨイ。ハルには話しておけよ」
「わーってるよ!」
といい、ヤヨイは板金工場の階段を上っていく。
「ヤヨイ、今日はどっちなんだ?」
「カネだよ、カネ。ほら」
と5枚ほどの1万円札を、ヤヨイは撒いた。
「で、キミはどっちにするの?」
「あ、いや、どっち……とは?」
「泊ってくんでしょ? 宿代。カネか、カラダか」
「も、もちろん、お金で……」
「全然いいんだよ? 俺、どっちもいけるし」
「け、結構です……」



