軽トラは、その後、5キロほど走り、小さな板金工場のような場所に入り、停車した。 「さてと」と女は車から降りて、軽く伸びをした。 「おい、出ないと潰されるぞ?」 「え?」 女が上を指さした。上には大きな鉄球があり、それが徐々に近づいてくる。 「やべっ!」 と俺は、間一髪、車から身を投げ出した。 車は鉄球に潰され、見るも無残。 「な、なんで言わねえんだよ!」 「察しの良さはあんたの十八番だろ?」 と女はケラケラ笑った。出会ってからずっと思っていたが、この女、正気じゃない。