ことの経緯については、だいぶ読めてきた。 「単刀直入に言おう。わしの跡を継ぐ気はないか?」 「ありません」 「ならいい」とおじいさんは愉快そうに笑った。 「まあしかし、せめて一杯は付き合ってくれよ。わしは孫と酒を飲むのを楽しみにしていたのだからな」 「ええ、それはまあ。ただ……」と俺は、手に取ったグラスを離した。 「これで兄弟の盃だ、なんて言いませんよね?」 「言わん言わん」 とおじいさんはまた愉快そうに笑った。