「じいちゃん?」
「そうだ。じいちゃんだ。お前と最後に会ったのは……おい!」と言うと、黒服が白髪の老人に耳打ちをした。
「ああ、1995年の花見の時だ。どうだ? 思い出しただろう」
いやいやいやいや。と内心思った。95年ということは、30年前。当時の俺が2歳の時の話だ。覚えているわけがない。
「久しぶりの祖父と孫の再会に水を差すようで悪いんだけど」と女が言った。
「一応仕事なんで」
「ああ、そうだったな。おい」
と白髪の老人は、黒服をあごで使い、黒服の一人が紫色の風呂敷を持ってきて、テーブルに広げた。
中身はカネだ。おそらく300万だろうか。



