通された部屋は客間のようだった。
長くゴツい木で作られたテーブルがあり、掛け軸には、「天照皇大神」と書かれている。縁側からは、池が見え、鹿威しこそないものの、日本庭園のそれのような、旧家だった。
ふすまが開いて、白髪の6,70代くらいの男が入ってきた。先ほどのボスらしき男と黒服数名がそばに控える。この白髪の老人、どうやらボスのようだ。
「久しぶり。さて、まずは一杯」
と白髪の老人。そばで控えていた黒服がウイスキーのボトルと、グラス2つ、1つは白髪の老人に、もう1つは俺の前に置かれた。
「え? 久しぶりって……」
「なんだ、覚えてないのか。じいちゃんだ」
黒服によって、目の前に置かれたグラスにウイスキーが、底から指3本分ぐらいの量が注がれた。



