降りた瞬間、黒服のサングラスの男たちに囲まれた。
四方八方、タバコと古臭いオーデコロンの匂いが鼻につく。
「おっと、さてさて。まだ離れててもらおうか」
と、俺を運んできた女が言った。手には……拳銃である。
それを見て、黒服たちが一斉に懐や、腰に手を回した。その瞬間。女は銃を下に向け、
パンッ!
発砲した。
「依頼主はあんたたちじゃない。あんたたちのボスだ。依頼主に引き渡すまでは、これはあたしの荷物ってことさ。奪うかい?」
発砲した弾は、黒服の一人の足元付近に当たり、コンクリートが少し欠けていた。
「いい。離れろ」
建物の奥からボスらしき男が出てきて、黒服たちを制した。タバコと古臭いオーデコロンの匂いが徐々に遠ざかっていく。
「失礼。ボスがお待ちです。さあ、どうぞ」
とボスらしき男が女と俺を建物の中に招き入れた。こいつはボスではないようだ。



