本当のことは言わないで

その後いろいろ周ってホテルに帰ってきた。

里音と二人になる。
なんて言葉をかけていいのかわからない。

「私は大丈夫だよ!」

気を遣ったのか、里音は私にそう言った。

「なんか今日の里音、カッコよかったよ」
「えっ、どこが?(笑)告白すらできなかったのに」
「二人の幸せを祝福してるのがカッコよかったよ」
「あぁ、私もなんであんなことできたのかわからない」
「えっ、そうなの?」
「それはそうでしょ。好きな人が自分以外の人と幸せになることなんて、願えるわけないでしょ」
「えっ、じゃなんで今日はあんなこと言ったの?」
「自分でもわからないけど、綺麗な思い出にしたかったのかな?」
「綺麗な思い出?」
「本当は諦めることはできないよ。でも最後に好きな人の幸せを祈れたら、綺麗な失恋の思い出になるような気がしたね」
「里音…頑張ったね」
「星良…」
「私の前では頑張らなくていいよ」

私がそう言うと、里音はもう泣くことを我慢しなかった。
こんなに泣きたい気持ちを抑えていたのかと驚くくらい泣いた。