「な……二度目? それは、どういう……」
一蹴されることは予想できても、まさかの続きを促されながらの爆弾発言にはユーリも対応できていない。
「言葉のとおりだ。それより、今になって妙な芝居をする気になった理由は何だ。お前がそれほど王位に執着しているとは思っていなかったが」
「……執着するのは王位ではありません。家族と、この国です。だから、他の方がいいと言われてもおいそれとは渡せない」
答えを貰えないことに憮然としながらも、ユーリははっきりと言い返す。
「立派に育ったものだ。如何にエインの事情を知るのが私だけとはいえ、それで犯人にされては堪らぬ」
「……本当にそうでしょうか」
「……なに……? 」
それでも、話にならないと踵を返そうとする王を睨みつけて続けた。
「事情を知る者が他にいないと、そう言い切れるのですか。現に、エインを王位継承者に推すものが増えてきている。エインはあれでいい奴ですが、それとこれとは話が別です。先程の会議は、俺には異様だった。ですが、父上には違ったようだ」
そうでなければ、犯人がエインを攫ったか、もしくはエイン自ら姿を消すその理由がない。
治癒能力のことを知っていたか、少なくとも噂程度に聞いてその力を確かめたくなったか、だ。
「俺の知らないところで、もう戦いは始まっている。父上がご存じないのなら、敵はエインを籠絡させたがっているその一派ということになるでしょう」
「賛同を得られないからといって、敵とは呼べまい。必ずしも、エイン派の者がお前を狙ったとは……」
「なら、エインならどうです」
結局何が言いたいのかと眉を寄せた顔が、状況を察したのかみるみる驚愕の表情へと変わっていく。
「エインがいなくなった。その理由に、あの男がまったく関与していないはずはない」
ユーリは、既に目星をつけていたのだ。
そして恐らく、今のところはエインは無事だろうと希望も込めて判断した。
「――……」
迷ったのは、瞼を伏せた一瞬。
ユーリの心地よい声が、低く、けれども明瞭に響く。
そして、どの表情の僅かな変化も見過ごさないというように、王の目を正面から捉えたままその名を続けた。
――ヴァルモンド。



