色褪せて、着色して。~リリアン編~

 言うべきじゃなかったのかな。

 帰りの馬車の中で、大きくため息をついた。
 やっぱり、余計なおせっかいだったのかも。
「言わなくても、良かったのかな」
 目の前に座っているバニラに言った。

「バニラは、随分前から感じてたんでしょ。呪いのこと」
「…ええ」
 バニラが気づかないはずがない。
 窓の外を眺める。
 莫大な畑が広がっている。
「秘密の館ねえ…。しょうもなっ」
 と、言って。しまった…と思ったが。
 バニラは苦笑しているだけだ。

 他国だったら、呪いにかけられても。なんとかなるけど。
 この国には魔法が通じない。
 ヒサメ様は勿論、奥さんであるカスミ様は。
 ずっと、傷ついていたはずだ。

「王族より、複雑なのかもなあ…」