会社の最寄りのビルの地下に入っている
パン屋さんで幾つかパンを選んでから
地下鉄で移動すると、お店の近くまで
来て、その違和感に足を止めた
あれ?‥‥電気が付いてない?
それに暖簾も出てないし‥‥。
「えっ!?」
店の前まで行くと、扉に貼られた
臨時休業の紙に本気でショックを受ける
会社を出る時から気分は【むらせ】
一択だったからこそ、タイミングの
悪さにも落ち込む
もう冷凍ご飯とお茶漬けとかで簡単に
済ませよう‥‥。スーパーに戻るのも
面倒だから。
こういうときに限って旅行前だからと、
食材を使い切ってしまってるから
冷蔵庫はスッカラカンだった
千代さんにもあげようと思ったパンを
手に仕方なく家に向かって歩き始めると
目の前から歩いて来た人に足が止まり、
久しぶりにこの場所で見る姿に、
何故だか胸がジーンと熱くなる
「酒向さんもしかして【むらせ】に
来ました?残念ですが今日はお休み
でしたよ。」
スーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイも
していない酒向さんは、私の前まで
歩いてくると、背後にあるお店を
見てため息を吐いた
『そっか‥‥残念だな。
今日はここで食べる気だったから。』
「私もです。仕方ないので諦めて
帰宅しようかなって。」
本当に残念そうにする酒向さんに、
つい先程まで同じことを考えていたから
思わず笑ってしまいそうになる。
『新名、もし良かったらこれから
ご飯でも行かないか?』
えっ?
『君が行きたくないなら
無理しなくても大丈夫。』
酒向さん‥‥‥
自分に何の壁もなく、素直に返事が
出来ていたら、こんなにも相手に気を
使わせないでいいのに、こんな時まで
私の気持ちを汲んでくれるの?
見下ろす優しい眼差しに、
胸がどうしようもなく苦しくなり、
その優しさにさえ甘えそうになる
「すみません、今日は帰ります。
あ、そうだ‥‥。これ、美味しい
パンを千代さんに買って来たのに
渡せなかったから、酒向さん
食べられませんか?
良かったらもらってください。」
酒向さんを見上げて持っていた紙袋を
両手でそっと差し出した
ここで楽しい時間を過ごしてしまうと、
自分の壁がまた壊れてしまう。
もう大丈夫だと思っていたのに、
会社の外だとこんなにも自分は弱い
のだと思い知らされるのだ
パン屋さんで幾つかパンを選んでから
地下鉄で移動すると、お店の近くまで
来て、その違和感に足を止めた
あれ?‥‥電気が付いてない?
それに暖簾も出てないし‥‥。
「えっ!?」
店の前まで行くと、扉に貼られた
臨時休業の紙に本気でショックを受ける
会社を出る時から気分は【むらせ】
一択だったからこそ、タイミングの
悪さにも落ち込む
もう冷凍ご飯とお茶漬けとかで簡単に
済ませよう‥‥。スーパーに戻るのも
面倒だから。
こういうときに限って旅行前だからと、
食材を使い切ってしまってるから
冷蔵庫はスッカラカンだった
千代さんにもあげようと思ったパンを
手に仕方なく家に向かって歩き始めると
目の前から歩いて来た人に足が止まり、
久しぶりにこの場所で見る姿に、
何故だか胸がジーンと熱くなる
「酒向さんもしかして【むらせ】に
来ました?残念ですが今日はお休み
でしたよ。」
スーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイも
していない酒向さんは、私の前まで
歩いてくると、背後にあるお店を
見てため息を吐いた
『そっか‥‥残念だな。
今日はここで食べる気だったから。』
「私もです。仕方ないので諦めて
帰宅しようかなって。」
本当に残念そうにする酒向さんに、
つい先程まで同じことを考えていたから
思わず笑ってしまいそうになる。
『新名、もし良かったらこれから
ご飯でも行かないか?』
えっ?
『君が行きたくないなら
無理しなくても大丈夫。』
酒向さん‥‥‥
自分に何の壁もなく、素直に返事が
出来ていたら、こんなにも相手に気を
使わせないでいいのに、こんな時まで
私の気持ちを汲んでくれるの?
見下ろす優しい眼差しに、
胸がどうしようもなく苦しくなり、
その優しさにさえ甘えそうになる
「すみません、今日は帰ります。
あ、そうだ‥‥。これ、美味しい
パンを千代さんに買って来たのに
渡せなかったから、酒向さん
食べられませんか?
良かったらもらってください。」
酒向さんを見上げて持っていた紙袋を
両手でそっと差し出した
ここで楽しい時間を過ごしてしまうと、
自分の壁がまた壊れてしまう。
もう大丈夫だと思っていたのに、
会社の外だとこんなにも自分は弱い
のだと思い知らされるのだ



