遣らずの雨 上

リラックス出来るかは分からないけど、
1泊2日が憂鬱にならないように
過ごしたいとは思う



土曜日の午前中、病院から帰る途中
路面店のショップをぶらぶら見たり、
LO◯Tに寄り、旅行に必要な物を
買い終えた私がオープンカフェで
お茶をしていると、偶々そこを
通りかかっただろう人物と目が合い
飲み物を喉に詰まらせてしまった


「ゴホッ!!」


『何してるの?待ち合わせ?』


スーツ姿とは打って変わって私服姿が
見慣れないけれど、口調は相変わらずで
いつもの相良さんだと思えた


『いらっしゃいませ。
 お連れ様ですか?』


「えっ?違い」
『そうです。ホットコーヒーお願い
 してもいいですか?』


近くに来たアルバイトであろう可愛い
店員さんに甘い態度で接すれば、
顔を真っ赤にしてコクコクと頷き
中に入って行ってしまった


「連れじゃないんですけど‥‥」


『まぁまぁ、せっかく会えたんだし、
 お茶くらいいいじゃん。
 新名ちゃんくらいだよ?俺と会うと
 嫌な顔するの。』



嫌な顔をしてることは気付いてるんだと
一安心しつつも、狭いカフェテーブルに
まるで恋人ではないかという距離で
座られグイっと相良さんの体を押す


「私といても楽しくないと思いますよ?
 話のネタも笑わかせる力も癒す力も
 ないですから‥‥」


いつも周りに綺麗な人や可愛い人が
沢山居るのに、何故私に構うのだろう?


恋人は作らないなんて噂も聞いたことが
あるけど、29歳ならそろそろ特定の人を見つけてもいいのに‥‥


『新名ちゃんはさ、特別なんだよ。
 まわりに流されないし何処か冷めてて
 自分を持ってる。俺のこと好きって
 思わないとことか気になるしね。』


運ばれて来た珈琲を一口飲みながら、
店員さんに手を振る姿にさえ溜め息が
出る



「相良さんは何してたんですか?」


『俺?気になるの?』


「違いますよ。誰かと待ち合わせ
 とかなら誤解をされたく
 ないんです。」


もう‥‥本当に話が噛み合わない。
黙ってたらそこそこカッコイイのに、
チャラさが前面に出てツラい。


『新名ちゃんとなら俺は誤解されても
 いいよ‥‥‥‥好きだから。』


えっ?


いつもの冗談だと思いたかったのに、
初めて見る真剣な表情に、グラスを持つ
手に変な力が入る