「‥‥ッ‥なんで‥‥」
両手で顔を覆い、溢れ出る涙を
見られたくなくてその場で俯く
待たされて怒ってもいいのに
今来たみたいな顔をして、体調を
気にかけてくれる優しさが余計にツラい
会いたくないと言いながらも、
こんな優しそうな顔を見たら
会えて嬉しいとさえ思えてしまう
『新名‥‥病み上がりなんだから
中に入ろう。全く‥靴も履かずに‥』
ドクン
玄関のドアを開けてくれ、背中に手を
添えて家の中に入れてくれると、狭い
空間で主任が私を思いっきり抱き締めた
「‥っ酒向さ‥‥何して‥」
倒れる直前に包まれた香りと同じ‥‥
大きな手の温もりと私を抱く腕の力に、
抜け出す事も出来ず、酒向さんの胸に
顔が埋もれて離れない‥‥
突然のことで何が怒っているのか、
考えたいのに頭が働かない。
『顔を見たら帰ろうと思ったけど、
困ったな‥‥‥そんなに泣いてたら
帰れないだろう?』
「‥‥泣いてませ‥‥から‥‥
離してください‥‥酒向さ‥‥」
友達が泣いてたら抱き締める?
会社の部下が退院したら家まで来て、
顔を見るまで帰らないの?
こんなのやっぱりおかしい‥‥‥
この気持ちを持ったまま生きるのは
私にはツラ過ぎる‥‥。
「私には‥‥酒向さんとはやっぱり
友達関係は無理です‥‥。」
両手で胸元をグッと押すと、背中に
回されていた腕の力が緩み、そこから
抜け出し距離を取る
仕事だけなら今まで通り頑張れる。
私の直属の上司という関係で
いられるなら私には十分だ‥‥
「やっぱり私は1人がいいんです。
誰かといる時間は疲れるし、
気も使います‥‥。
無理して体調崩すのも嫌なんです。」
『新名‥‥落ち着いて‥‥』
「私なんかと友達になりたいって
言ってくださった事は嬉しかった
です。でも‥‥ごめんなさい‥‥。」
電気も付いていない薄暗い玄関で、
主任の目を真っ直ぐ見てから頭を
深く下げる
泣いた後だからきっといつにも増して
ひどい顔をしていると思うけれど、
これでいい‥‥‥
こんな素敵な気持ちを教えてもらえた
人に、悲しい顔をもうさせずに済む。
『‥‥‥分かったよ。
とにかくゆっくり休んで。
新名の顔が見れて良かった。』
ズキンと痛む心臓に気付かないフリを
して頭を上げると、頭に軽く触れた
酒向さんの手がすぐに離れると
ドアを開けて帰って行った。
「ッ‥‥‥」
泣くな‥‥‥。
人を傷つけておいて自分が泣くのは
最低な人間だ。
短かった友達関係の中で、私が
知らなかった感情を沢山教えてくれた
ことは絶対忘れない‥‥。
両手で顔を覆い、溢れ出る涙を
見られたくなくてその場で俯く
待たされて怒ってもいいのに
今来たみたいな顔をして、体調を
気にかけてくれる優しさが余計にツラい
会いたくないと言いながらも、
こんな優しそうな顔を見たら
会えて嬉しいとさえ思えてしまう
『新名‥‥病み上がりなんだから
中に入ろう。全く‥靴も履かずに‥』
ドクン
玄関のドアを開けてくれ、背中に手を
添えて家の中に入れてくれると、狭い
空間で主任が私を思いっきり抱き締めた
「‥っ酒向さ‥‥何して‥」
倒れる直前に包まれた香りと同じ‥‥
大きな手の温もりと私を抱く腕の力に、
抜け出す事も出来ず、酒向さんの胸に
顔が埋もれて離れない‥‥
突然のことで何が怒っているのか、
考えたいのに頭が働かない。
『顔を見たら帰ろうと思ったけど、
困ったな‥‥‥そんなに泣いてたら
帰れないだろう?』
「‥‥泣いてませ‥‥から‥‥
離してください‥‥酒向さ‥‥」
友達が泣いてたら抱き締める?
会社の部下が退院したら家まで来て、
顔を見るまで帰らないの?
こんなのやっぱりおかしい‥‥‥
この気持ちを持ったまま生きるのは
私にはツラ過ぎる‥‥。
「私には‥‥酒向さんとはやっぱり
友達関係は無理です‥‥。」
両手で胸元をグッと押すと、背中に
回されていた腕の力が緩み、そこから
抜け出し距離を取る
仕事だけなら今まで通り頑張れる。
私の直属の上司という関係で
いられるなら私には十分だ‥‥
「やっぱり私は1人がいいんです。
誰かといる時間は疲れるし、
気も使います‥‥。
無理して体調崩すのも嫌なんです。」
『新名‥‥落ち着いて‥‥』
「私なんかと友達になりたいって
言ってくださった事は嬉しかった
です。でも‥‥ごめんなさい‥‥。」
電気も付いていない薄暗い玄関で、
主任の目を真っ直ぐ見てから頭を
深く下げる
泣いた後だからきっといつにも増して
ひどい顔をしていると思うけれど、
これでいい‥‥‥
こんな素敵な気持ちを教えてもらえた
人に、悲しい顔をもうさせずに済む。
『‥‥‥分かったよ。
とにかくゆっくり休んで。
新名の顔が見れて良かった。』
ズキンと痛む心臓に気付かないフリを
して頭を上げると、頭に軽く触れた
酒向さんの手がすぐに離れると
ドアを開けて帰って行った。
「ッ‥‥‥」
泣くな‥‥‥。
人を傷つけておいて自分が泣くのは
最低な人間だ。
短かった友達関係の中で、私が
知らなかった感情を沢山教えてくれた
ことは絶対忘れない‥‥。



