意識がハッキリとしていないのに、
聞こえた声に懐かしさを覚えて顔を
ゆっくりと左側に向ける
「‥ッ‥‥おとうさ‥‥」
『久しぶりに会えたかと思えば、
聞きたいことは山ほどあるし、
元気でやっていればと思ったのに、
こんなにも弱って‥‥‥。』
お父さんだ‥‥‥
ただそれだけなのに、目から涙が
溢れて止まらない‥‥‥
『泣くんじゃない‥‥。
元気になったら話は聞くから、
まずは何も考えず体を治しなさい。
分かったかい?』
白衣を着た姿の父が、点滴を調整した後
私の指に付けられていた装置とモニター
を確認していた
『ケータイにお前の会社の上司から
連絡が来た時は驚いたが、そのお陰で
ここに運んでもらえたし、見えたら
必ずお礼を伝えなさい。』
上司‥‥‥
やっぱりあの時私を包み込んだ人は
酒向さんだったのかな‥‥‥。
緊急連絡先を見てお父さんに連絡を
してくれたのだろう‥‥。
『体調が回復したら定期検診を
受けて行きなさい。朝日君に
頼んでおく。それくらいは言うこと
を聞いてくれるね?』
「はい‥‥」
久しぶりに見るお父さんは、少しだけ
痩せてしまったのか、自分が思い描いていた面影よりもずっと歳を重ねていた
お父さんの後ろ姿を目で追いかけ
扉が静かに閉まると、小さくため息を
吐き天井を見上げる
懐かしいな‥‥‥‥
人生の半分以上はこの白い部屋で
生きてきた私にとっては、ここが
本当の意味での実家なのかもしれない
窓から見える景色だけが、私と外の
世界を繋ぐ唯一の場所で、自分は
ここから出る事が出来ないまま
生きていくと思っていた
コンコン
「‥‥はい」
ガラガラ
『‥‥‥目が覚めてたんだね。』
酒向さん‥‥‥
『これ、着替えとか色々を佐藤さんと
山岸さんが持たせてくれたから
ここに置いておくよ。
君のお父さんとも話したが、日曜日
まで入院になったから、しっかりと
体を治せ。仕事の事は何も気に
しなくていいから。』
佐藤さんと優子にも心配かけてしまった
だろうな‥‥
「酒向さん‥‥迷惑かけてすみません。
お父さんにも連絡して下さったと
聞きました。
ありがとうございます‥‥‥」
ベッド横にある椅子に腰掛けた
主任を寝たまま見上げると、大きな手が
頭を撫でて溜め息を漏らした
『正直‥‥ものすごく焦った。
真っ青な新名を抱き抱えた時に、
想像よりもずっと軽くてね‥‥。
また料理をして沢山食べないとな。』
酒向さん‥‥
聞こえた声に懐かしさを覚えて顔を
ゆっくりと左側に向ける
「‥ッ‥‥おとうさ‥‥」
『久しぶりに会えたかと思えば、
聞きたいことは山ほどあるし、
元気でやっていればと思ったのに、
こんなにも弱って‥‥‥。』
お父さんだ‥‥‥
ただそれだけなのに、目から涙が
溢れて止まらない‥‥‥
『泣くんじゃない‥‥。
元気になったら話は聞くから、
まずは何も考えず体を治しなさい。
分かったかい?』
白衣を着た姿の父が、点滴を調整した後
私の指に付けられていた装置とモニター
を確認していた
『ケータイにお前の会社の上司から
連絡が来た時は驚いたが、そのお陰で
ここに運んでもらえたし、見えたら
必ずお礼を伝えなさい。』
上司‥‥‥
やっぱりあの時私を包み込んだ人は
酒向さんだったのかな‥‥‥。
緊急連絡先を見てお父さんに連絡を
してくれたのだろう‥‥。
『体調が回復したら定期検診を
受けて行きなさい。朝日君に
頼んでおく。それくらいは言うこと
を聞いてくれるね?』
「はい‥‥」
久しぶりに見るお父さんは、少しだけ
痩せてしまったのか、自分が思い描いていた面影よりもずっと歳を重ねていた
お父さんの後ろ姿を目で追いかけ
扉が静かに閉まると、小さくため息を
吐き天井を見上げる
懐かしいな‥‥‥‥
人生の半分以上はこの白い部屋で
生きてきた私にとっては、ここが
本当の意味での実家なのかもしれない
窓から見える景色だけが、私と外の
世界を繋ぐ唯一の場所で、自分は
ここから出る事が出来ないまま
生きていくと思っていた
コンコン
「‥‥はい」
ガラガラ
『‥‥‥目が覚めてたんだね。』
酒向さん‥‥‥
『これ、着替えとか色々を佐藤さんと
山岸さんが持たせてくれたから
ここに置いておくよ。
君のお父さんとも話したが、日曜日
まで入院になったから、しっかりと
体を治せ。仕事の事は何も気に
しなくていいから。』
佐藤さんと優子にも心配かけてしまった
だろうな‥‥
「酒向さん‥‥迷惑かけてすみません。
お父さんにも連絡して下さったと
聞きました。
ありがとうございます‥‥‥」
ベッド横にある椅子に腰掛けた
主任を寝たまま見上げると、大きな手が
頭を撫でて溜め息を漏らした
『正直‥‥ものすごく焦った。
真っ青な新名を抱き抱えた時に、
想像よりもずっと軽くてね‥‥。
また料理をして沢山食べないとな。』
酒向さん‥‥



