そう思ってたのに‥‥‥


なんだろう‥‥この人‥‥‥すっごい
私のことをじっと見てくるんだけど‥。


確かに一人ひとりの仕事を今日は見て、
コミュニケーションをはかる日だとは
思うんだけど、なんか私の所だけ
他の人より異常に長くない?



まぁ‥‥
でもいつも通りを見たいと思うから、
変に無理しすぎず普通にしとくのが
いいはず。


なんなら悪いところとかあれば
意見として聞きたい‥‥‥。


『新名皐月さん?
 主な仕事はWEB広告と広報担当?』


「えっ?あ‥はい。そ、そうです。」


ビックリした‥‥‥


名前を呼ばれる事にも驚きだけど、
近くで聞くと声までいいから、あの
顔面偏差値にプラスされてみんなが
騒ぐのにもまた納得してしまう


『フッ‥じゃあ聞くけど、今君が
 やってるのはなんの仕事なの?』


へっ?‥‥今の仕事‥?


「ツッ!!」


しまった‥‥!!
早く終わらせたくて成瀬さんの仕事を
無意識にやってたけど、直属の上司に
知られたらマズイものだった!


ど、どうする?なんて言い訳する?


「あ、こ、これは‥」


『酒向主任〜、新名さんは時々
 空いた時間に集計を手伝って
 くれてるんですぅ。それも自分から
 やりたいって言うので、私の仕事
 ですけど仕方なく‥‥』


は、はぁ!?


通路を挟んだ向こうから腰をクネクネ
しながらやってきた天敵でもある
成瀬さんに顔が歪む。


時々!?
仕方なく!?


よくそんな事が言えたものだ。
この集計が滞ると、分析チームが
困るからやってるんですけど!?



『じゃあこれは今すぐ君がやって?
 彼女には違う仕事を任せたいから。
 集計担当ですよね?』


『えっ?さ、酒向さん?私がですか?
 ご冗談ですよね?』


私が呆気にとられているだけでなく、
成瀬さんも主任の言葉に驚いている


『悪いが仕事中に冗談は言わない
 タイプでね。新名さんには
 ホームページ関係をこれから
 新しくしてもらいたいので、
 集計は簡単だから出来るよね?
 それにこれは今日やるべきものじゃ
 ないはずだけど違ったかな?』


うわ‥‥この人すごいかも‥‥


サッと見ただけで成瀬さんの仕事だと
分かったこともだけど、期日が過ぎて
いるのも見抜いてる。


表情こそ穏やかだけど、的確かつ
冷静で、その綺麗な顔立ちに私は
背筋がゾクっとしてしまう


顔を真っ赤にした成瀬さんは、
主任から手渡されたファイルを受け取り
私をひと睨みした後デスクに戻って
行った。


『新名さん』


ドキッ