主任の言葉に当時の事が思い出され、
一気に恥ずかしくなると同時に、
その時書いた言葉をどんな気持ちで
書いたのかが蘇り何故だか目頭がグッと
熱くなってしまう
『彼女が亡くなったと聞かされてから
無気力で働いてきたけど、
何故だかその作文を読んだら、
どんな子か気になってしまってね。
実際に会ったことはないのに
君に会える日が楽しみで、異動の話
が出た時は不思議と迷わなかった。
励まされた訳じゃないし、彼女が
居ないのにも変わらないのに、
文面だけで惹かれたのも何かの
縁なのかもしれないってね。
だから君に会えて嬉しかったよ。』
テーブルの向こうから伸びてきた
長い指が頬を伝う涙を優しく拭い
我慢していたのに涙腺が崩壊していた
事に気付かされる
酒向さんが彼女さんを失った悲しみ
を私が救えたとは思えないけど、
今はただただ泣きたかった‥‥
『君のお陰で今日の俺がいる。
友達にならない選択肢はないだろう?
答えになったかな?』
泣きながらも頷き、目の前で笑う
酒向さんの優しさにまた涙が流れる
あんな作文‥誰にも見てもらえない
だろうって思っていた。
自分の気持ちを言えず、
本当の自分さえ見せられず生きてきた
私にとって、あの作文だけは嘘偽りない
気持ちだったから。
「酒向さ‥‥グスッ‥‥
ありがとうございます‥‥」
もっと言いたいこと、伝えたいことが
あったし、感情だって出したいのに、
上手く伝えられない自分には、
この言葉しか言えないけれど、
私のような存在が今の目の前の主任の
役に立てたならそれだけで十分だ‥‥
ベランダから舞い込む春風が頬を撫で、
主任の手からそっと離れたあと
背を向けてティッシュで涙を拭いていく
この人の優しさにこれ以上触れ、
甘さに溺れてしまうと私はきっと
抱いてはいけない感情を持ち始め
ダメになる気がする‥‥‥。
『皐月って呼んだら駄目かな。』
ドクン
自分の名前なのに、何故だろう‥‥。
普通のことだし、何もおかしなこと
ではないのに、主任にだけは
そう呼ばれたくないって思えてしまう。
「な、名前は緊張するので‥新名でも
いいですか?」
せっかく歩み寄ってくださってるのに、
こんなことを言う友達は最低だと思う
分かってる‥‥分かってるけど‥‥
『新名か‥‥それも悪くないね。』
振り返るのが怖かったけど、耳に届く
優しい声色にグッと涙を堪えて振り向き
精一杯の笑顔を主任に向ける。
その時に見た酒向さんの優しい笑顔を、
私はきっと一生忘れないと思う‥‥
一気に恥ずかしくなると同時に、
その時書いた言葉をどんな気持ちで
書いたのかが蘇り何故だか目頭がグッと
熱くなってしまう
『彼女が亡くなったと聞かされてから
無気力で働いてきたけど、
何故だかその作文を読んだら、
どんな子か気になってしまってね。
実際に会ったことはないのに
君に会える日が楽しみで、異動の話
が出た時は不思議と迷わなかった。
励まされた訳じゃないし、彼女が
居ないのにも変わらないのに、
文面だけで惹かれたのも何かの
縁なのかもしれないってね。
だから君に会えて嬉しかったよ。』
テーブルの向こうから伸びてきた
長い指が頬を伝う涙を優しく拭い
我慢していたのに涙腺が崩壊していた
事に気付かされる
酒向さんが彼女さんを失った悲しみ
を私が救えたとは思えないけど、
今はただただ泣きたかった‥‥
『君のお陰で今日の俺がいる。
友達にならない選択肢はないだろう?
答えになったかな?』
泣きながらも頷き、目の前で笑う
酒向さんの優しさにまた涙が流れる
あんな作文‥誰にも見てもらえない
だろうって思っていた。
自分の気持ちを言えず、
本当の自分さえ見せられず生きてきた
私にとって、あの作文だけは嘘偽りない
気持ちだったから。
「酒向さ‥‥グスッ‥‥
ありがとうございます‥‥」
もっと言いたいこと、伝えたいことが
あったし、感情だって出したいのに、
上手く伝えられない自分には、
この言葉しか言えないけれど、
私のような存在が今の目の前の主任の
役に立てたならそれだけで十分だ‥‥
ベランダから舞い込む春風が頬を撫で、
主任の手からそっと離れたあと
背を向けてティッシュで涙を拭いていく
この人の優しさにこれ以上触れ、
甘さに溺れてしまうと私はきっと
抱いてはいけない感情を持ち始め
ダメになる気がする‥‥‥。
『皐月って呼んだら駄目かな。』
ドクン
自分の名前なのに、何故だろう‥‥。
普通のことだし、何もおかしなこと
ではないのに、主任にだけは
そう呼ばれたくないって思えてしまう。
「な、名前は緊張するので‥新名でも
いいですか?」
せっかく歩み寄ってくださってるのに、
こんなことを言う友達は最低だと思う
分かってる‥‥分かってるけど‥‥
『新名か‥‥それも悪くないね。』
振り返るのが怖かったけど、耳に届く
優しい声色にグッと涙を堪えて振り向き
精一杯の笑顔を主任に向ける。
その時に見た酒向さんの優しい笑顔を、
私はきっと一生忘れないと思う‥‥



